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「考え事」の対話練習 -インナースピーチで外国語学習- 理論編

text: 菊池春花

はじめに

このコラムでは、「頭の中で響かせる声」、インナースピーチを外国語でのスピーキング練習にどのように役立てられるかを考えていきます。

私は以前「頭の中だけで」英語の会話練習をしたことがあり、その後スピーキングがスムーズになった経験があります。外国語を話す機会がない、そもそもどう話せばいいのか自信がない、などの不安に対するひとつの提案としてお読みいただければ幸いです。

インナースピーチとは?

突然ですが、この英単語を「声に出さずに」読んでみてください。

Ophthalmologist

おぷ?おふ?正解はカタカナで書いてしまうと「オプタモロジスト」という雰囲気で、意味は「眼科医」です。

ただ今回その意味はどうでもよくって、「読むときあなたの頭の中で何が起こっていたか」に着目してみます。複雑そうな綴りを読もうとすると、頭で音声が再生されませんでしたか?おぷ、おふたる…という具合に。

その頭の中で響く音声には実は名前があって「インナースピーチ」といいます。このインナースピーチは言語学習に効果があると言われており、今回具体的にご紹介したいと思います。

インナースピーチとは人が自分の力で何かを成し遂げようと(先ほどの例であれば発音をしようと)、頭の中で思考する際に用いられることばのことを指します。実際声に出されるわけではなく、頭の中に響く独り言、というイメージでしょうか。

例えば本を読むとき、読んでいる文章が頭の中だけで音声を伴って再生される人がいると思います。また、数を数えるとき。声を出しにくい場合は、頭の中で数えませんか?

またはアルバイト中、慣れない作業の手順を考える際に頭の中だけで音声が伴ったり。これがインナースピーチです。皆さんは経験がありますか?

インナースピーチの効果は?

このインナースピーチは言語学習にどのような効果があるのでしょうか?順を追って見ていきましょう。

1) リハーサル効果
読んだり聞いたりした単語や表現、その意味を頭の中で繰り返し真似をする。そして実際に自分が使うにはどのような文法・発音・状況が適切か考えることができる。
2) リーディング中の理解度促進効果
黙読中にインナースピーチを頭に響かせ、音声的な側面について内省することで、リズムやイントネーション、強勢が加わり理解が促進される
3) 記憶効果
インナースピーチとして頭で用いられた言葉は短期記憶に留まりやすい
4) 速読効果
インナースピーチを用いた思考は意味がぎゅっと凝縮された形態をしているため、速読につながる
5) 問題解決効果
音読中知らない単語を音声に結びつけると、後に意味が自然に聞こえるようになる

これらの機能を対話練習にどうやって活かすのか?準備編と実践編でご紹介します!

菊池春花

大阪生まれ大阪育ち。大阪大学言語文化研究科博士前期課程1年。子ども向け英会話の先生をしながら、第二言語習得理論について学んでいます。学部時代は大好きなブロードウェイミュージカルのCDを聞きながら英語の勉強をしていました。

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