「考え事」の対話練習 -インナースピーチで外国語学習- 実践編
前々回の理論編ではインナースピーチとは何なのか、そして前回の準備編では実践に至るまでに知っておきたいことをご紹介しました。
このコラムでは、ひとつの実践例と共に練習方法をご紹介します。ぜひご自分で選んだマテリアルをお手元に、一緒に練習してみましょう。
1. マテリアルの準備
この例ではドラマ “Sex and the city” のワンシーンより、主人公キャリーとその親友ミランダの電話シーンを選びます。主人公キャリーは過去の恋人ビッグに今から会いに行く決断をし、親友ミランダに伝えますが、反対したミランダと喧嘩になってしまいます。その後キャリーは謝りの電話をミランダに入れ「会いに行く決意は変わらない」と伝え、ミランダはそれを尊重することにする、というシーンです。
2. ひとつだけセリフを選ぶ
今回は主人公キャリーの
“But if I’m totally wrong and it is a huge mistake, I need to know you’ll be there for me.”
とします。
3. 意味の把握
もし馴染みのない表現があれば、辞書などで調べておおよその意味を把握します。今回のセリフは、「もし私がバカで大きな間違いを犯してるとしても、あなた(ミランダ)は私のそばにいてくれるって知っておきたいの」といった具合でしょうか。雰囲気が分かれば、直訳する必要はありません。
4. 響かせる
ここからがインナースピーチの出番です。2のセリフを頭の中で響かせます。響かせると言っても、自分でその頭の声は作り出さなければなりません。声はキャリーの声でもいいし、ご自分の声でも、違和感がなければ構いません。頭の中で、
”but if I’m totally wrong and…”
と響かせます。
最初の数回ははっきりと、単語を飛ばしたりせず、正確に響かせます。徐々に抑揚やアクセントも付け加え、スピードアップしたものを響かせます。恥ずかしいかもしれませんが、感情も付け加えて。
”but if I’m totally wrong and…” ”but if I’m totally wrong and…”
この作業を、翻訳しなくても意味が自然に聞こえるようになるまで続けます。
5. 続きを作り出す
4に慣れたら、それに続く会話を作り出しましょう。続きのセリフがもともとあるのであればそれを使ってもいいですし、自分で作成した文章でも構いません。このドラマに続きのセリフはもちろんありますが、今回は想像で作ってみたいと思います。
”Of course, I promise I’ll be there for you.”
とします。
6. 響かせる
この新しいセリフで、4の作業を行います。
この作業を繰り返し、20秒程度の短い会話例を作ります。その会話例全体をスムーズに何も見ずに響かせることができれば、きっともう体の中に染み込んでおり、実際にコミュニケーションで使用することができると思います。一人の時間に、ぜひぶつぶつと呟いて成果を確認してみてください。
おわりに
みなさん、無事にインナースピーチを響かせることができたでしょうか?
もしインナースピーチを積極的に活用して会話場面を多く思い浮かべることができれば、実際話す機会が来た時にも焦らず、自然な相槌や表現が出てくると思います。ぜひ、実際のコミュニケーションに役立ててみてください!
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