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使役・受け身・使役受け身表現(1)使役形

text: 李眞善

みなさんは、「食べさせました」、「食べられました」、「食べさせられました」の意味や使い方をちゃんと区別できますか?日本語の文法の中で「使役・受け身・使役受け身表現」は最も難しい文法の一つだと言われています。今回のコラムでは「使役・受け身・使役受け身表現」の基本的な使い方をわかりやすくまとめたいと思います。まずは、使役形から見ていきましょう。

使役形

使役形は、「AがBにVすることを命令すること」です。ここで、BはVしたくないですが、Aから命令があったので、Vをするようになります。

例えば、母(A)が子供(B)に「野菜を食べなさい(V)」と命令しました。子供は、野菜を食べたくなかったのですが、母から命令があったので、仕方なく野菜を食べます。これは、使役形を用いて「母が子供に野菜を食べさせた」というように表せます。



使役形の作り方

  1. 1グループと2グループの動詞を「―ない」形に作りましょう。
  2. 「ない」を削ってください。
  3. 1グループには「せる」を、2グループには「させる」を付けてください。

3グループは「する」、「来る」の2つだけなので、そのまま覚えてください。

*1グループ/2グループは、う-verb/る-verb、あるいは、五段活用/上一段・下一段活用と呼ばれたりもします。

1グループ

  • 読む: 読まない + せる ⇒ 読ませる
  • 行く: 行かない + せる ⇒ 行かせる
  • 泳ぐ: 泳がない + せる ⇒ 泳がせる

2グループ 

  • 食べる: 食べない + させる ⇒ 食べさせる
  • 見る: 見ない + させる ⇒ 見させる
  • 寝る: 寝ない + させる ⇒ 寝させる

3グループ

  • する ⇒ させる
  • 来る ⇒ 来させる

使役形の文型

使役形の文型には、主に以下の二つがあります。 

1.Aが/は Bに/を 自動詞の使役形。(自動詞の例:走る、帰る)

例)先生は、学生を走らせた。



2.Aが/は Bに ~を 他動詞の使役形。(他動詞の例:出す、歌う)

例)先生は、学生に宿題を出させた。


クイズ

ここでクイズです。答えを見ずにまずは考えてみてください。

1.次の動詞を使役形に変えてください。

  1. 立つ
  2. 飲む

2.問題1の動詞を使って、次のイラストを見ながら使役文を作ってみてください。

  1. 立つ

  1. 飲む


こたえ

  • 1-1:立たせる
  • 1-2:飲ませる
  • 2-1:先生は、学生を席から立たせました。
  • 2-2:看護師は、おじいさんに薬を飲ませました。

ここでは、「使役・受け身・使役受け身表現」の中でも使役形を勉強しました。次のコラムでは、受け身表現を練習しましょう。

李眞善

大阪大学言語文化研究科修士課程1年。色んな言語を学ぶことが大好きです。言語からはその言語を使う人々の文化やアイデンティティーが感じられるからです。

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